京都市乳腺外科「仁尾クリニック」
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ガイドラインについて

ガイドラインとエビデンス

乳癌診療のガイドラインは、日本乳癌学会によるものが出版され、患者向けのものも発刊されています。
しかし、その内容は欧米の治験に基づいたもので、日本での治療成績に基づくものではありません。
このため、これら欧米のエビデンスに基づくガイドラインが治療成績の 大きく異なる本邦の乳癌に適応できるのかについての検証はありません(日本の治療成績のほうがかなり良好)。また、ガイドラインはしばしば変更され、以前の内容と矛盾する部分も出てきたため、最近ではかなり曖昧な表現になってきています。また最近では、遺伝子発現解析に基づくサブタイプ別の治療ガイドラインが発表されています。ただ、サブタイプ分類が予後の予測には有用である事は証明されていますが、これに基づく治療選択が予後を改善するというエビデンスはありません。

 基本的な考え方としては、
  1. (1)ホルモン受容体が陽性であれば、内分泌療法を行う。
  2. (2)ホルモン受容体が陰性であれば、化学療法を行う。
  3. (3)HER2蛋白が過剰発現していれば、化学療法と抗HER2療法を行う。
  4. (4)いずれも陰性のトリプルネガティブであれば化学療法を行う。
  5. (5)ホルモン受容体が陽性であっても、増殖能が高いか悪性度が高い場合、またリンパ節転移がある場合は内分泌療法に抗癌剤を追加する。
ということになります。

米国のガイドラインはインターネット上で閲覧可能で、
米国のNCCN<http://www.nccn.org/>、ASCO<http://asco.org/>などのガイドラインが有名です。また2年毎のSt. Gallen expert consensus meeting(ザンクトガレ国際専門家会議)の推奨指針も専門医によく利用されています。2009年度と2011年度のものをわかりやすく改変して掲載しましたが、2011年度のものは曖昧表現が多く、2007年や2009年度のガイドラインの方が使いやすいのも事実です。



日本では、国際的に用いられているstage分類とは別に独自のstage分類が使用されていることもあり、施設間や論文における治療成績、特に欧米のTNM分類に基づくデータとの比較には注意が必要です。
Stage分類がどの分類に基づくものか、さらに、触診、肉眼、画像所見に基づくものか、病理学的所見に基づくものかを区別しなければなりません。
また、治療成績は施設や治療医による格差が大きいこと、
さらに、エビデンスはあくまで総論であり、個々の患者さんにとって最適治療であるかどうかは、別の問題であることも強調する必要があります。